ある著名な研究によると、海洋化学汚染の約80%は陸上由来の物質を原因とするもので、海洋由来の物質はわずか20%にとどまっている。淡水環境において特に重要な汚染経路(直接的・間接的)となっているのは、河川・湖沼などだ。
独立系の海洋環境保護コンサルタント Peter Kershaw氏によると、海洋由来汚染の影響は 20%という数字が与える印象よりも深刻だ。例えば、化学物質の放出量は種類・地域によって差があり、環境に与える影響は、化学物質の性質によっても変化する。
また特定地域で発生する海洋由来の汚染が、世界規模の化学汚染より大きな害をもたらすこともある。数トン規模の硝酸やその他化学物質、プラスチック細片を輸送中のタンカーが、火災によって 2021 年にスリランカ沖で沈没したケースはその典型的な例だろう。海洋化学汚染の汚染源は、多様かつ複雑なのだ。
こうした海洋化学汚染の経路を、(部分的に重複する)六つのカテゴリーへ分類することができる:
The chemicals lifecycle: From raw material to disposal
Chemical pollution takes place at every stage of the process. According to UNEP, the industries responsible for the largest releases of hazardous chemicals include mining, agriculture, wastewater treatment, energy generation, chemical production, and product-manufacturing use and disposal
The chemicals sector value chain
オレフィン(エチレン・プロピレン・ブチレン)芳香族(ベンゼン・トルエン・キシレン)塩素アルカリ(塩素・苛性ソーダ)メタノールバイオ素材(例:砂糖・でんぷん・天然油・酸)その他(例:アンモニア・リン)
日用品差別化商品特殊化学製品
プラスチック・エンジニアリング樹脂押出フィルム・パイプ・プロファイル・コーティング・シート・発泡体中空成形品射出成形部品合成物合成繊維ゴム製品塗料・メッキ接着剤・封止材潤滑剤水処理製品洗剤工業化学物質難燃剤その他
自動車・運輸消費者向け製品包装材建築娯楽・スポーツ工業医療製薬パーソナルケア製品繊維電気・電子機器航空宇宙食品バイオベース素材
資料: Chemical Sector SDG Roadmap, World Business Council for Sustainable Development (WBCSD) (2018年)
本報告書では、原料となる原油や鉱物、金属の採掘・処理といった製造前の段階から、化学製品を製造・使用段階、廃棄物管理の段階(公共・民間事業者の両方を含む)まで、ライフサイクル全体を視野に入れながら、海洋化学汚染の原因に関する分析を行っている。
詳細については、“海洋化学汚染の汚染源:『海に忍び寄る新たな危機』第2章”をお読み下さい。
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ザ・エコノミスト・グループと日本財団のイニシアティブ、Back to Blueは海洋課題への取り組みにあたって、科学・エビデンスを活用することの重要性を分かち合い、サステナビリティの推進と海洋環境の保全にむけたソリューションを模索したいと考えています。イニシアティブが取り組む最初の重点課題は「汚染」です。