海洋汚染ゼロの実現の鍵を握るのは、政策担当者・ビジネスリーダー・投資家と十分な科学的エビデンスを共有し、汚染の規模・深刻度・影響を明らかにすることだ。短いディスカッション・ペーパーをダウンロードして、「勧告」をお読みください。

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高まる海洋汚染データの重要性

エコノミスト・インパクトと日本財団が設立した海洋環境保全イニシアティブ『Back to Blue』は、世界規模の海洋汚染データの不足解消に向けた取り組みを開始した。

人間の活動による海洋環境の汚染は着実に悪化しているが、データの質・アクセスの問題により、問題の全容解明はほとんど進んでいない。世界ではプラスチック汚染が大きな関心を集めているが、化学物質をはじめとする他の汚染源(その多くは目に見えない)は、プラスチックと同レベル、あるいはより深刻な影響を及ぼしている可能性が高い。しかしその現状はほとんど把握されておらず、データの標準化・比較・分析・解釈を通じて汚染の現状・影響を世界全体で検証する取り組みも行われていない。

化学物質とその他の汚染源は、生物多様性・海洋生態系の破壊だけでなく、漁業や観光資源となるサンゴ礁・沿岸部の自然環境悪化などを引き起こし、経済的問題の要因にもなっている。また、汚染が海のCO2吸収能力を奪いつつあることも深刻な懸念材料である。こうした問題を解消し、気候変動・生物多様性に関する世界的な目標を達成するためには、海洋汚染ゼロの実現が不可欠だ。その鍵を握るのは、政策担当者・ビジネスリーダー・投資家と十分な科学的エビデンスを共有し、汚染の規模・深刻度・影響を明らかにすることだ。

『Back to Blue』イニシアティブは、取り組みの一つとして報告書『海洋汚染ゼロの実現:科学的エビデンスのさらなる蓄積に向けて』を発表。問題に対する世界的な連携を実現するために、科学者・環境活動家・政策担当者・投資家・ビジネスリーダー・消費者・若者世代へ取り組みへの参加を呼びかけている。

『Back to Blue』の勧告

2025年に開催される国連海洋会議や、2024年開催の国連環境総会[UNEA]をはじめとする主要国際会議では、(プラスチック汚染にとどまらない)海洋汚染全体を議題とし、認知度向上と政策担当者による具体的対策を後押しする

国連機関や各国政府機関、学術機関、科学研究機関、民間セクターなど、海洋汚染に関するデータ・情報の収集・管理に携わる組織の効果的連携に向けて、『国連海洋科学の10年』を活用する

世界全体における海洋汚染の実態解明に向けたロードマップを2025年までに策定。検討・実行プロセスには、国連機関・各国政府機関・科学研究機関・学術機関・NGO・民間セクター(テクノロジー・セクターを含む)など、可能な限り幅広いステークホルダーの関与を促す

『Back to Blue』など多様なプロジェクト・イニシアティブと科学者コミュニティが連携し、問題の認知度向上を図ると共に、既存データを活用してその危険性を政策担当者・ビジネスリーダー・一般市民に訴える

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