科学者は、海洋環境とそこに生息する野生生物、そして人体に化学物質が及ぼす影響は、現在知られているよりもはるかに深刻だと考えている。2020 年に発表されたある研究によると、製品・使用対象として登録済みの化学物質・化合物は、これまでの推計よりも3倍多い35万種類。そして企業による極秘扱い、あるいは曖昧な記述によって詳細が不明な化学物質も、約12万種類に上るという。
世界的な知識・情報不足を解消する必要性は、2019年に国連環境計画が発表した報告書『Global Chemicals Outlook』[世界化学物質アウトルック]でも指摘されている。同報告書はこの問題を、化学汚染の軽減に向けて対応すべき主要10課題の一つとして明記。複数化学物質による相互作用も、優先研究分野として挙げている。
高懸念化学物質を包括的にリスト化すること は難しい。ごく一部の例外を除き、化学物質が人体・環境にもたらす影響は、ほとんど(あるいは全く)分かっていないからだ。過去20年の論文13万本(3500 品目以上の化学物質を分析)を検証したある研究によると、その半数はわずか65種類の化学物質を対象としていた。海洋環境へ及ぼす影響どころか、現在世界でどのような化学物質が使われているのかについてもほとんど解明されていないのだ。
本章では海洋汚染の原因となる主な化学物質を取り上げ、現時点で解明されている原因・影響を検証する
詳細については、“海洋化学汚染の主要原因物質:『海に忍び寄る新たな危機』第1章”をお読み下さい。
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ザ・エコノミスト・グループと日本財団のイニシアティブ、Back to Blueは海洋課題への取り組みにあたって、科学・エビデンスを活用することの重要性を分かち合い、サステナビリティの推進と海洋環境の保全にむけたソリューションを模索したいと考えています。イニシアティブが取り組む最初の重点課題は「汚染」です。