約14億人の人口を抱え、中間層が急速に拡大するインドは、世界の中でもプラスチック汚染が特に大規模かつ深刻だ。同国のCentral Pollution Control Board(中央公害管理局=CPCB)によると、廃プラスチックの年間排出量は350万トンだが、一部の専門家はこの数字を過小評価と考えている。いずれにせよ、国民1人あたりの廃プラスチック排出量が過去5年間で倍増するなど(同局調べ)、危機が深刻化していることは間違いない。
この現状を考えれば、インドが海洋プラスチック汚染の主要汚染国となっているのは自然なことだ。ある推計によると、同国の河川からはフィリピンに次ぎ世界で2番目に多い、年間12万6500トンの廃プラスチックが排出されているという。
これはあくまでも試算に基づくものだ。しかし、同国が抱えるプラスチック管理体制の問題が国内・周辺国の陸地・水域へ深刻な影響をもたらしていることは間違いない。この現状は、エコノミスト・インパクトが作成したPlastics Management Index(プラスチック管理指数=PMI)の結果からも裏付けられている。インドは同指数の総合ランキングで25カ国中20位に低迷し、総合スコアも平均値を大きく下回る41.5と振るわなかった(PMIの詳細については2021年10月に発表された『Plastics Management Index:プラスチックの効果的管理と持続可能な利用に向けたビジョン』を参照)。
プラスチック・エコシステムの主要ステークホルダー(政府・企業・NGOなど)は、事態の深刻さを認識している。例えば政府は2016年以降、プラスチック管理関連政策を積極的に策定・更新している。一部の州・自治体も、一定規格外の使い捨てビニール袋の廃止など、独自の対策を打ち出している。また国内消費財メーカーの多くは、プラスチック・ニュートラルの達成にコミットし、消費者の認知度向上に向けた取り組みを進めている。
しかし今回の調査結果が明らかにする通り、政策の策定と実行、つまり理念と実践の間には依然として大きな乖離が見られる。
PMIは世界25カ国を対象としてプラスチック管理の取り組みを比較する試みで、『ガバナンス』・『管理・運営能力』・『ステークホルダーの関与』という三つのカテゴリーにまたがる様々な指標を元に各国のスコア・ランキングを算出している。インドに関する主要な論点は以下の通り:
読了時間: 2mins
読了時間: 8分
読了時間: 4分
読了時間: 5分
読了時間: 8分
読了時間: 10分
読了時間: 2分
読了時間: 2分
Back to Blueにご興味をお持ちいただきありがとうございます。
Back to Blueのロードマップの共同設計をご希望の方、またはコンテンツ、イベント、記事、メディア関連へのご意見は、以下のフォームにご記入ください。ありがとうございました。
ザ・エコノミスト・グループと日本財団のイニシアティブ、Back to Blueは海洋課題への取り組みにあたって、科学・エビデンスを活用することの重要性を分かち合い、サステナビリティの推進と海洋環境の保全にむけたソリューションを模索したいと考えています。イニシアティブが取り組む最初の重点課題は「汚染」です。